『ハンセン病文学読書会のすすめ』をいただいた

 編者の佐藤健太さんからご恵贈いただいた。
 ありがとうございます。
 ハンセン病者の手による文学作品をみんなで読み、その解釈などについて議論する会の記録と、参加者それぞれにとっての読書会の意味の考察と、読書会をするためのガイドが盛り込まれた本。
 参加者の方による考察が、短い文章ではあるのだが「これは作品をみんなでじっくり読んで、楽しみながら議論したんだろうな」ってことが伝わってきて羨ましくなった。


 そもそも何で読書会をなさっているかというと。高齢化が進んで、文学作品を書いた人自身も含めた、ハンセン病を患った経験のある当事者から直接お話を聞くのが難しくなってきている。で、この傾向は今後ますます強まるわけで。「そんな時代だからこそ文学作品から過去の声を聞くことは、じつは重要な意義があるのではないだろうか」(p.7)ということで。つまりは、文学作品からハンセン病者の声を聞き、日本においてハンセン病と病者がどのような状況に置かれてきたのかを探る、と。
 ただし文学作品だけ読んでOKってわけでもなく、作者の略歴や関連する資料をも含めて押さえて作品の文脈をしっかり固めて理解していくという手法を取っていて。また、お話が聞ける当事者からは直接話を聞いたり解釈をぶつけたりして、さらに理解を深めていく、と。実際インタビューも1つ収録されている。 
 あと、もう1つ重要なのかなと思ったのが、読書会で「『人権』『差別』『偏見』を使わず感想を言う」(p.10)というお約束を共有していること。単にこういう語を使わないってだけではなくて、こういう紋切り型の枠組みを前提として作品を読むのをやめようってことだろう。
 上にあげた3つのことは全て共感できるし、こういうところがあるからとても面白く読んだ(し、自分も読書会に参加・開催したくなった)。


 あと、最初の方に書いたことでもあるが、参加者の方がどの人も真剣に作品に向き合っているんだろうなってことが伝わってきたことからも、面白さと羨ましさを感じさせられた気が。「(ちょっと幅広く表現すると)研究をするための資料にこれだけじっくり向き合って、みんなで共有してあーだこーだ言う」ってのは楽しいもんなー(でも最近なかなかできていない)。


 うちの学生さん(特に他学部の文学系の学生さん)に勧めたい本だった。