『ソーシャル・インクルージョンへの挑戦』

 スウェーデン等北欧諸国におけるソーシャル・インクルージョン(社会的包括/包摂)の取り組みを検討し、日本に対して得られる示唆はないか考えていこうって感じの本。

ソーシャル・インクルージョンへの挑戦

ソーシャル・インクルージョンへの挑戦


 上に述べたのと同じことだけど。本書の問題意識。

 本書の出発点は「貧困」の克服のための模索である。そのための手かが理を、スウェーデンを中心とする北欧に求め、日本への示唆として捉えていきたい。国連ユネスコなど国際組織による貧困克服への道は、豊かさから「排斥される(エクスクルージョン)」人びとを通常の社会に「包み込む(インクルージョン)」戦略の実行である。とりわけ雇用と教育からの排斥を避け、雇用と教育を保障する体制の実現が目標となる。スウェーデン型の福祉社会では、排斥されやすい人びとを特別に配慮する特徴が元々強調されてきた。これを社会的包括(ソーシャル・インクルージョン)という言葉で表現している。(p.4)

とのこと。目次は以下。

第1章  EUおよびスカンジナビア諸国におけるソーシャル・インクルージョンへの挑戦
第2章  スウェーデンにおけるソーシャル・インクルージョンの実現を目指して――社会的弱者へのセーフティネットの構築
第3章  貧困と社会的排斥を克服するためのスウェーデンの行動計画〈2003―2005年版〉
第4章  教育におけるインクルーシブな方法による排斥の克服
第5章  貧困と社会的排斥を克服するための私たちの課題
第6章  地域福祉政策と市民主権
第7章  地域福祉における公私協働の意義とソーシャルワーカーの役割
第8章  精神障害者の社会的排斥から見えるもの
第9章  社会的排斥をめぐる心理臨床的考察
第10章 特別支援教育とインクルーシブ教育の展望――普通学級と重症児教育の課題として
第11章 高齢者ホームレス支援事例に見る社会的排斥
第12章 エクスクルージョンからインクルージョンへ――若者・高齢者・女性
第13章 ソーシャル・インクルージョンの実現を目指して

 4章までが他地域の話で、5章以降が日本の課題。
 排斥されてる人を包摂すること自体は、方向として重要だと思う。と同時に一方で、「社会に包摂する」ということが、現存する「社会」(の価値観や規範)を大前提としてしまうところがあるかもなって気がして、そうしたところには気をつけないとな、とか。あと、エスピン-アンデルセンが福祉レジームのあり方を社会体制との関連で類型化してたけど、その辺も考えると、北欧のものを日本で検討する際に注意すべきこと(背景となってる社会体制の考慮だとか)ってのがいろいろあるんだろうな、とも。どちらも、著者たちも認識してることだと思うが、俺も読んでて感じたりした。
 やっぱり、他地域の話を読むと、面白いわ。いろいろと違ってて。